このシリーズ記事は、これまで私が学んできたマーケティングについて整理しまとめた記事です。
今回は、ターゲットをより深く理解するためのペルソナ設定についてです。
ペルソナとは
商品・サービスが充実し、ライフスタイルや趣味・嗜好が多様化した現在では、誰でもを対象にした商品・サービスは、誰にも使われないという傾向があります。
そこでマーケティングの戦略立案では、「誰に」対して、商品・サービスを売るかのかを明確化する事が重要になります。
その際、STP分析においてターゲット設定を行いますが、そのターゲットをより深く理解するために用いる手法がペルソナ法です。
ペルソナとは、演劇の登場人物やキャラクター、または心理学で人格を意味する言葉で、ペルソナ法はその名の通り、ターゲットの人物像を設定して行います。
ペルソナの設定は、まるで実際にそういった人物が存在するかのように、名前、年齢、性別、所在エリア、年収、職業、嗜好、行動スタイル、価値観などを細かく決めます。
ペルソナ法は、元々ソフトウェア開発の際、そのソフトウェアを使うユーザーを理解するために生み出された手法ですが、現在ではマーケティング分野でも広く用いられています。
ペルソナ設定のメリット
- カスタマーファーストな商品・サービスづくりができる
- 携わるチームメンバーで共通認識を持つことができる
- その後の施策で効率的に資源(お金や時間や労力)を使える
ペルソナを設定するという作業を通して、ターゲットである消費者を理解し、ペルソナの視点を通して見ることで、プロダクトファーストではなく、カスタマーファーストな発想で商品・サービスを考えたり、商品・サービスの改善点を見つけ出すことができます。
ペルソナという1人の人物像を設定することにより、その商品・サービスに関わるメンバーが全員で共通認識を持ちやすくなります。各メンバーが考えているターゲットの微妙なズレを補正することで、時間の無駄をなくし効率よく的確にターゲットに届けることができるようになります。
また、消費者に対する考えのズレを少なくすることができるので、その後の施策で使うお金や労力にも無駄がななります。
こうして、ターゲットに対する認識を最適化できる事が、ペルソナ設定が重要視されている理由です。
ペルソナ設定方法
- ①ターゲットを決定する
まずは、ターゲット層を決定します。
すでに顧客がいる場合は、その顧客のデータを年齢や性別、職種などに分けて、新規顧客になりやすい層、LTV(顧客生涯価値)が高い層を選定します。
新たな商品・サービスの場合は、対象にする市場の消費者を、年齢や性別など人口統計項目や、住んでいる地域、趣味嗜好やライフスタイルでグルーピングして、その中から選びます。
選ぶ際には、以下の点を基準にします。
- 到達可能か(商品・サービス、または認知のための広告などを届けられるか)
- 成長見込み(そのグループの市場は伸びていくか)
- 十分なサイズ(そのグループは採算がとれる十分な市場規模サイズか)
- 競合状況(競合がいるか。いた場合の差別化は可能か)
詳しいターゲット設定方法は、STP分析の記事を参考にしてください。
- ②ターゲットに関するデータを集める
①で決定したターゲット層を理解するために、データを収集します。
可能であれば、顧客にアンケートやインタビューを行い、直接の情報収集を行います。
また、官公庁が出している統計データや、調査企業が一部の調査データをWebサイト上で無料で公開していますので、そうしたデータを利用します。
e-Stats(政府統計のポータルサイト):https://www.e-stat.go.jp/
インテージ知るギャラリー:https://www.intage.co.jp/gallery/
調査のチカラ:http://chosa.itmedia.co.jp/
生活定点:http://seikatsusoken.jp/teiten/
- ③データを整理してペルソナーシートに反映する
集まったデータを年齢や性別など基本属性と、余暇の過ごし方、消費傾向、利用する情報源などの行動や心理属性などの分類に整理し、ペルソナシートに入れていきます。
ペルソナシートには、そのペルソナが抱えている課題、望んでいるゴールを書き出した上で、商品・サービスがその課題をどう解決できるか、望むゴールをどう提供できるかも洗い出します。
ペルソナシートは、いろんなテンプレートがありますが、基本的な内容をまとめたものを作ったので、この記事の最後に置いておきます。ダウンロードして活用してください。
ペルソナ作りで注意したいこと
ペルソナを設定する際に注意したいのが、思い込みや先入観を出来る限り入れないことです。
例えば20代女性が休みの日にランチにでかける行動を設定する際、おしゃれなカフェに行くと思い込んでいるかもしれませんが、データから読み解くと高架下の隠れた美味しい食堂へ行く事が分かるかもしれません。
また、消費者を取り巻く環境や情報は常に変化するので、作ったペルソナは定期的に見直しをかけるようにします。
マーケティング思考ワーク『よく使う商品のペルソナ設定をしてみる。』
ペルソナを設定する作業は、ターゲットの理解にとても役に立ちます。まずはその作業に慣れるために、身の回りにある家電や服のブランドなど自分がよく使う商品を対象にペルソナシートを使って、ぜひその商品のターゲットはどんな人物像になるか考えてみてください。