人類の生存を決める20年とは?映画『デヴィッド・アッテンボロー: 地球に暮らす生命』

人類の生存を決める20年とは?映画『デヴィッド・アッテンボロー: 地球に暮らす生命』 ドキュメンタリー
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『デヴィッド・アッテンボロー: 地球に暮らす生命』
(原題:David Attenborough: A Life On Our Planet)
製作年2020・製作国イギリス・時間83分

この映画はここがポイント

  1. BBCドキュメンタリー「プラネット・アース」シリーズの集大成的映画
  2. 94歳の動物学者デビッド・アッテンボロー氏のメッセージ
  3. 地球の今の現実が分かる
  4. 人類が地球に生き残るにはいま何をすべきかが分かる

あらすじ

独自の観点から自然界を追うドキュメンタリー『デヴィッド・アッテンボロー: 地球に暮らす生命』では、環境保護提唱者として有名なデヴィッド・アッテンボローが、彼の人生における決定的な瞬間と、これまで目にしてきた地球上の壊滅的な変化について振り返る。地球規模で進む自然破壊の実情から見えてくる、我々が直面する大きな課題...。
彼が提唱する地球を守るための解決策とは?
未来の世代へ向けた力強い希望のメッセージが込められた本作は、Netflixで2020年10月4日 (日) より配信スタート。
(引用:Netflixジャパン公式Youtubeチャンネル解説より

感想

わたし自身、昔からデビッド・アッテンボローさんがプロデュースを続けているBBCドキュメンタリー「プラネット・アース」シリーズが大好きです。
なので、Netflix(カナダ版)で配信されているデビッドさんの最新作が出るたびに見てきました。

厳しい自然の中に生きる野生動物たちの生態を、BBCのスタッフが長年にわたって撮った映像は、毎回心を打たれます。

この映像シリーズのしみじみとした心に響くナレーションで、デビッドさんを知っていましたが、イギリスの国宝とも呼ばれ爵位を与えられるほどの有名な動物学者だと知ったのは、この作品がきっかけです。

デビッド・アッテンボロー
Photo:Our Planet

デビッド・アッテンボロー

(David Attenborough)
イギリスの動物学者、植物学者。2020年現在は94歳。
イギリスBBCのドキュメンタリー、「プラネット・アース」シリーズのプロデューサーでナレーター。
70年近く、BBCの取材で自然界の知られざる表情を世界中に届け、環境保護を提唱する番組作りのパイオニアとも言われる人物。

これまでの他の作品からも、環境破壊に対する警鐘やメッセージが随所に見られますが、世界自然保護基金(WWF)の協賛で作られたこの作品は、デビッドさんの人生を通して、デビッドさんが動物・植物学者として見てきた地球環境の変化を、視聴者に語りかける形式で作られています。

映画の冒頭でデビッドさんが語られるように、94歳となる彼にとって人生の時間が少なくなり、いまのうちに地球のいまの危機をはっきりと伝えなければと考えたのだろうなと思わされる内容です。

デビッド・アッテンボロー
Photo: Netflix / David Attenborough: A Life On Our Planet

この映画の公開と同じタイミングで、この映画の内容をより掘り下げたデビッドさんによる同名タイトルの本も出版されています。

映画の中で伝えられた事実があまりに衝撃的で、この映画は私の生活や生き方にも大きく影響を与えました。

それまで「食べるなら、エシカルに育った肉だけをなるべく食べたいな。でも高いなー!」というくらいの気持ちで肉食について考えていたんですけど、この映画がきっかけになって、本格的に肉を可能な限り食べない食生活に変えました。

『地球に暮らす生命』から学ぶ3つの事実

それほど私にとって影響を与えた、デビッドさんが語る地球の今の事実についての一部を、図や数字にしてみました。

- 世界の人口増加と原生地の減少

世界の人口増加と原生地の減少

デビッドさんが自然科学に興味を持ち始めた少年時代から現代まで、地球は大きく様変わりしたことを、映画の中では数字で表されています。
デビッドさんがヒストリーを語る中で出てくる度に出てくるこの数字は3つ。
世界の人口、大気中の二酸化炭素量、そして地球に残る手つかずの自然エリアのパーセンテージを示す「原生地残存率」です。

地球上の人類の人口は現在もものすごい勢いで伸びていて、それと同時に大気中の二酸化炭素量は増え、地球上に残された原生地の面積は、わずか35%までに減ってしまいました。

- 地球上の哺乳類の数

地球上の哺乳類の数

作品の中では、動物と人間の関係性も語られます。ここで、なぜ食肉が問題なのかが分かります。

それまで、ヴィーガンの人の考えでは、動物がかわいそうだから食べないという考えがほとんどなのだと思っていました。
それは動物愛護精神が高い欧米的なカルチャーから来ているんだと思っていました。

実際に、私も肉を食べるなら幸せに育てられた肉だけにしたいと、そのくらいにしか考えていなかったんですよね。

でも、この映画で、食肉が環境へ与える影響がどれだけ大きいかを、改めて数字的に知りました。

その数字の1つが、地球上の哺乳類数の割合。6割が食肉です。野生動物はわずか4%以下。

世界の野生の哺乳類の数は全体のわずか4%以下
Photo: Netflix / David Attenborough: A Life On Our Planet

肉を生産する過程には、大量の二酸化炭素の発生が注目されがちですが、それ以上になにより大量の農地開拓による森林伐採も大きな問題なのだそう。

それだけでなく、地球の1つの土地だけでは、もはや現在の地球の人口分の肉食は支えきれなくなっています。

- 地球上の鳥類の数

地球上の鳥類の数

哺乳類と同じように、地球上の鳥類の数も7割が、人間が利用するための鳥です。
そのほとんどがチキンとしての食肉や卵をとるためのニワトリ

- 世界の森林伐採

世界の森林伐採

世界の森林伐採は、上の通り、人間の食料のための農地開拓のためにいまなお消えているそうです。

映画の中でデビッドさんが言及するのが、パーム油を採取するためのアブラヤシの植林による熱帯雨林の伐採

熱帯雨林の伐採でオランウータンの住む場所がどんどん奪われていることは、多くの方が昔から知っていると思いますが、その問題は今も解決していません。

森林伐採の原因のひとつになっているパーム油のほとんどは、加工食品に使われる「植物油」として、日本でもたくさん食品の多くに使われています。

映画の中に出てくる映像には、多様な熱帯雨林の景色からうってかわる均一に広がるアブラヤシの延々と広がる大地。

その映像をみながら、消費者としての自分を改めて考えさせられます。

パーム油採取のアブラヤシによる森林伐採
Photo: Netflix / David Attenborough: A Life On Our Planet

日本ではネットフリックスで配信中。自主上映も可能

この映画は、海外では学校や職場、その他コミュニティーでの自主上映の申し込みも受け付けています。

日本語字幕付きの上映データがあるか不明ですが、もし自主上映を検討している方は、英語ですがぜひお問い合わせしてみてください。

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