STP分析が必要な理由とその方法とは?【ゼロからのマーケティング思考】

STP分析 マーケティング
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このシリーズ記事は、ゼロからマーケティングについて知りたいという友人や、自分でビジネスをしている友人達に役立ててもらおうと、私が学んできた知識を整理しまとめた記事です。

今回は、「STP分析」と呼ばれるセグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)についてです。

STP分析とは

STP分析は、マーケティングの父と呼ばれるアメリカの経済学者が構築した理論から産み出され、1950年から現在まで最も使われているマーケティングのフレームワーク(考え方の型)です。
セグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)に分かれるこの分析のフレームワークは、商品やサービスを売る際、そのビジネスを取り囲む環境を分析する環境分析を行った後、実際に具体的なマーケティングの施策を考える前に行う作業にあたります。

STP分析

STP分析が必要な主な理由

  • 細分化が進んでいる消費者を理解するため
  • 限られた資源を有効に使うため

STP分析を行った上でのマーケティング方法を、ターゲット・マーケティングといい、逆に絞り込まないマーケティングはマス・マーケティングといいます。マーケティングの考えが出始めた戦前・戦後の誰もが同じものを欲しがった時代においては、マス・マーケティングが有効でした。しかし、モノやサービス、情報があふれ、ライフスタイルが細分化した現代においては、嗜好もかなり細分化されています。
現代では、消費者にただ価値を与えるだけでなく、感情面や精神面などの深い繋がりを作ることもマーケティングを成功させる上で重要になっています。そのため、STP分析という作業を通すことで、細分化された消費者を感情面を含めて理解した上で、商品やサービス、マーケティング戦略を考える必要があります。

また、STP分析を行うことで、どこに資源(時間・お金・労力)を投下すれば効果が高いかを読み解くことができます。STPが定まらない場合、効果が出にくい場所に資源を使ったり、無駄に広い範囲に資源を投じて効果を薄くしてしまう場合があります。

STP分析のやり方

マーケティング分析

STP分析は、セグメンテーション(Segmentation)→ターゲティング(Targeting)→ポジショニング(Positioning)の順でやることが基本となっています。
市場を細分化して、その中からどの細分化された部分を標的にするかを決め、その標的に対する「価値の軸」を決めて最も効果的に訴求できる位置を決定します。

- セグメンテーション:大きな市場を区分する作業

セグメンテーションとは細分化するという意味で、大きな市場を細かくグループで分ける作業です。
基本的には、以下のような切り口からグループ化します。まずは、セグメンテーションするための大きな市場を先に決めると取り掛かりやすいかと思います。例えば男性か女性か、日本か海外か、若年層かシニア層か、などです。

人口統計的な切り口

年齢、性別、家族構成、収入、学歴、結婚歴など人口統計データでの分け方

地理的な切り口

国別や都道府県別などの住んでいる地域での分け方

心理的な切り口

趣味嗜好やライフスタイルでの分け方

  • 都会派か田舎派か
  • 社交的か内向的か
  • 人と同じものを好むか、人と違うものを好むか
  • など

などのライフスタイルや、社交的なタイプか内向的かなどの性格での切り分け

行動タイプでの切り口

その商品・サービスに対する行動、購買行動の傾向などでの切り分け

  • 対象商品をよく使う人、たまに使う人、使わない人などの使用や購買頻度での分け方
  • 商品を知らない、知ってるけど持ってないなどのAIDMA行動ステージによる分け方
  • 求める利点(安さ、利便性、質、速さなど)での分け方
  • など

- ターゲティン:狙うグループを絞る作業

マーケティング戦略立案

セグメンテーションを行ったら、その中からターゲットを絞り、どのグループにに資源(時間・お金・労力)を投下すればよいかを見つけ出します。
それには、セグメントしたそれぞれの中から、

  • 到達可能か(商品・サービス、または認知のための広告などを届けられるか)
  • 成長見込み(そのグループの市場は伸びていくか)
  • 十分なサイズ(そのグループは採算がとれる十分な市場規模サイズか)
  • 競合状況(競合がいるか。いた場合の差別化は可能か)

といった視点で選定を行います。

最大のグループを見つけるマーケティング・プロダクト・グリッド表

もっとも大きなグループ市場を見つけ出すには、マーケティング・プロダクト・グリッド図というフレームワークを使うこともできます。
例えば、以下の例のように、「枕の好み」と「寝る体勢」という嗜好という切り口での2つのセグメンテーションから、最大の部分を見つけ出すことができます。
この例では、「普通の硬さの枕が好きで、横向きで練る人」がターゲットとして、資源(お金や労力)を最も投下すべきグループだと分かります。

枕好みの寝る体勢でのグループわけ
枕の硬さの好み 硬い方が好き(30%) 普通の硬さがよい(40%) 柔らかい方が好き(30%)
横を向いて寝るタイプ(50/100人) 15人 20人 15人
上を向いて寝るタイプ(30/100人) 9人 12人 9人
横を向いて寝るタイプ(20/100人) 6人 8人 6人

- ポジショニング:消費者に認知されやすいよう位置を明確化する

セグメントしてターゲットにした市場に競合が全くいなければ一番いいですが、たいていはたくさんの競合がいて、市場の大きい場所を取ろうと、つまり消費者を奪い合っています。
そこで、たくさんいる競合の中から消費者が自分の商品・サービスを認識しやすいように、消費者にとって選ぶ理由となる特徴を明確化します。
「わたしは○○○な商品ですよ!」と宣言するように、消費者にとって分かりやすいように、市場の中での立ち位置を決めるのが、ポジショニングです。
そのポジショニングを決める際によく利用される型が、ポジショニング・マップです。

ポジショニング・マップの軸の決め方


ポジショニングマップにはまず、縦と横の2種類の軸を決めます。軸を決める時に重要なのは、そのターゲット消費者の視点です。
その市場で消費者が商品・サービスの購入を決める要因はなにかという観点を先にもって、2つの種類の軸である「価値の軸」を考えます。

軸には、自分の強みを活かせる要素を入れますが、それは売り手の自己満足的な特徴ではなく、あくまで消費者が購買を決める価値あるものでなくてはいけません。そのため、ターゲティングの段階で、そのターゲットの思考方法や目線を手に入れておきましょう。

2つの軸はお互いが影響し合わないものである必要があります。例えば、「価格」と「品質」はお互い影響し合うものなので、独立していないため、よい軸になりません。
「価格」「商品の種類の豊富さ」などは独立しているため、よい軸になります。
また、

リポジショニング戦略

ターゲット市場に出した後に、市場の状況にあわせて自分の商品点サービスの内容を少し変え、ポジションを変更することで、マーケティング戦略を変更することができます。リポジショニング戦略という、よく使われる方法です。

例えば、北米でよく飲まれるチョコ牛乳。たくさんの食品メーカーが商品を出しています。あるメーカーは、もともとは子ども向けの商品として出していましたが、最近では大人向けにビターな味わいにして栄養価を高くすることで販売し売上を伸ばしているそうですよ。
競合が多く競争が激しい場合、または市場が縮小している場合、ターゲットを変えて、その商品の立ち位置を決めなおすことで、売上を伸ばせる場合があります。

ちなみに、STPの順番にはこだわり過ぎなくてもOKです。ポジションから決めた方がいい場合などは、価値の軸を決めて市場を理解するのもよいと思います。

マーケティング思考ワーク『好きな有名人をSTP分析してみる』

STP分析は、マーケティング戦略の土台ともいえる重要なワークフレームです。ぜひこのフレームワークの思考方法を身に着けて、新しく何かを始める際はもちろん、自分のビジネスを改めて洗い直してみてください。まずは気軽にこのフレームワークに慣れるために、以下のような視点で自分が好きな有名人、アイドルや俳優、ミュージシャンなどを使って分析をやってみてくださいね。

その有名人がいる最大単位の市場は?(日本か海外か?男性か女性か?など)

その有名人がもっとも売上の伸ばせるターゲットとなるファン(=消費者)は、どんな層か?人口統計項目、地理項目、心理項目(ライフスタイルや考え方)などで洗い出す

その有名人の立ち位置になる2つの軸はなに?

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