SWOT分析とは?例とテンプレート付き【ゼロからのマーケティング思考】

マーケティング
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このシリーズ記事は、ゼロからマーケティングについて知りたいという友人や、自分でビジネスをしている友人達に役立ててもらおうと、私が学んできた知識を整理しまとめた記事です。

今回は、マーケティングの最初に行う状況分析で利用される考え方ツール「SWOT分析」についてです。

SWOT分析とは何か

SWOT分析とは、現在の状況を理解してその後の戦略を考えるためのもので、1900年代初頭のハーバード・ビジネススクールで使われてきた歴史ある考え方の型ツールです。
市場や社会などの外部環境と、技術力や知名度などの自分のビジネスの内部環境をそれぞれプラス面とマイナス面で区別し、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Oppotunity)、脅威(Threat)の4つの側面にわけて考えます。

SWOT分析のメリット

SWOT分析という作業を通すことで、その後のマーケティング戦略を考えたり、判断したりする際の指標を得ることができます。

  • その後の判断や意思決定が効果的にできる
  • 自身のビジネスを客観的にみて理解が深まる
  • 努力で解決できる分野と解決できない分野を区別できる
  • チームや組織の意識統一ができる

SWOT分析の方法

この分析は、1人で脳内会議的に行うこともできます。ただ、一緒に働く仲間や、自分のビジネスをよく知っている身内など、より広く違った視野で行った方がさらに深い分析ができます。
1人でやる時はもちろんですが、数人でやる際は特に、SWOT分析によって何を見極めたいかの目的を先にはっきりさせて行うと効果的です。

ー 外部環境:機会と脅威の分析

SWOTを考える始める際、まずは自社を外側から見る客観的な視点を得るために、外部環境から先に取り組むのがオススメ。
外部環境とは、自社の競合や、税金や業界規制などの法律、市場のトレンド、人口などの社会構造、新しいテクノロジーなど、自分のビジネスを取り巻く環境から、プラス要因とマイナス要因を見つけ出します。

外部環境とは自分ではコントロールができない事なので、その環境を読み解くことで、どういう環境が有利・不利になるのかを知り、その後の戦略作りや決定で、無駄な動きをしないでいいように備えることができます。

機会(Oppotunities):チャンスはないか

社会や業界のトレンドの変化、法律の改正など、あらゆる要素から自分のビジネスにチャンスになるものはないかを考える部分。
競合の動きから、競合ができていなくて自分たちができることはないかをみたり、社会の動きが変わったことで、自分のビジネスがさらに伸びる場面はないかなど、つぶさに見て考えます。
SWOT分析作業のために、情報やデータを収集するのももちろん大事ですが、普段から見ているニュース、最近手に入れたデータ、ターゲット層である友人との会話など、小さな事からもチャンスを見つけられるはずです。

脅威(Threats):危機に備える

社会や業界、法律の変化など現在の状況から、すでに発生している自分のビジネスや強みを損なうような危機、将来起こりうる危機を分析します。
自分ではコントロールできないこうした環境を理解することで、事前に備えて対策をしたり、不利な状況での活動を避けたり、違う方向へ舵をきったりするなど、無駄な労力や資源を使わない対策ができます。
上記の機会を考えるのと同じように、この作業のために情報収集するのももちろん、すでに知っている頭の中の情報からこの作業で整理できるように、普段の生活から社会や業界の動きにアンテナをはっておく事が重要です。

外部環境をより多面的に考えるPESTと5Force

ちなみに、この外部環境をより多面的に考える際に役立つ型もあります。
マクロ(大きな経済社会全体)単位で考えるPEST分析と、業界全体の単位で考える5Force分析という考え方のフレームです。
また別の記事であらためてご紹介します。

ー 内部環境:強みと弱みの分析

自分のビジネスの強みと弱みを洗い出します。できるだけ主観的に考えずに、消費者の視点や、競合の視点に立って、より客観的に外側から見てみてください。
競合と原価や客単価を比較してみる、認知度を調査機関に調査してもらう、既存客からアンケートをもらうなど、数値などのデータで考えるとより客観的で正確な分析ができます。

強み(Strength):なぜ選ばれているか

今の顧客は、何を理由に自分を選んでくれたのかという消費者側の視点で見てみると、分かりやすくなります。
客観的にこの分析をするために、日頃からアンケートやお客様の声などを収集しておくとよいですね。

弱み(Weakness):なぜ選ばれないのか

強みを考える時と同様に消費者視点で、なぜ選ばれないかを考えてみます。
また、強みの分析にも当てはまりますが、競合は持っていて、自分のビジネスにはないものという視点で考えるのも一つの考え方です。

SWOT分析の例

では、具体的にSWOT分析はどういう事を各項目で挙げればよいのか、仮にある整体院のSWOT分析を行ってみました。
仮の分析なので具体的な数値は入れていませんが、以下のように数字を含めて考えることで、主観的な感覚を、客観的に考える視点を得ることができます。ぜひ数字にできる事は数字で考えてみてください。

整体院AのSWOT分析の例
プラス要因 マイナス要因
内部環境 【強み】
・立地の良さ(駅から○分、駅の利用者一日平均○万○千人人)
・整体師数の多さ(経験数10年以上○人、5年以上○人)
・月に1度の会員向けストレッチワークショップ
・明るい雰囲気(アンケートによる回答90%)
【弱み】
・平日昼間の予約が少ない(夕方以降に比べ50%減)
・知名度がない(認知度○%:○○区での街頭調査)
・施術メニューが少ない(自社○種、競合は○種)
外部環境 【機会】
・スポーツ人口増(○%増)
・スマートフォン利用増加による姿勢や体調変化(1人1日平均○分増)
【脅威】
・代替となる業種の増加(新しい鍼灸院とマッサージ店がこの1年同区に開店)
・情報増加により整体師によるカウンセリングのメリット減少(プロの整体師によるYoutube動画○%増)

具体的課題を導くクロスSWOT分析

上で行ったSWOT分析は状況を分析するために使う型ですが、その後に、SWOTをクロスさせて考えることで、分析した状況から実際に何をすべきかの課題を抽出することができます。
このクロスSWOT分析まで行うことで、具体的な戦略を検討することができるので、ぜひここまでやってみてください。
必ずしも、全てを埋める施策を考える必要があるわけでなく、部分的にも利用できます。

ー 強み×機会=積極戦略

強みを使って機会を最大限に活かすにはどうしたらよいかを考える部分。さらに伸びるために方法や施策を検討します。さらにビジネスを伸ばしたい時にこの部分を考えます。

ー 弱み×機会=改善戦略

弱みを補強して、機会を活かす方法を考えたり、機会を利用して弱かった部分を改善したりします。積極戦略と違い、段階的に弱みを改善してチャンスを取り入れることが多いため段階戦略とも呼ばれる部分です。

ー 強み×脅威=差別化戦略

強み使って、脅威となる要因の影響を避ける方法を考える部分。避けるという消極的な見方ではなく、脅威の中から逆にビジネスのチャンスにつながることはないかという視点で見ることが重要。

ー 弱み×脅威=防御・撤退戦略

弱みと脅威が重なりあうと大きな損失につながるため、その重なりを早めに発見して対策する部分です。不利な状況ではいくら労力をかけても効果が出ないこともあるため、この部分を理解することで無駄な時間やお金をかける事を避けることができます。

クロスSWOT分析の例

以下は上で行ったSWOT分析のクロス分析です。

整体院AのSWOT分析の例
強み 弱み
機会 【積極戦略】
・駅前のスポーツジムと紹介やコミッション提携
・経験あるスタッフによるスポーツテーマのワークショップ増加
【改善戦略】
・スマホ画面ファーストビューに平日昼の空き状況を出す
・スポーツジムに宣伝チラシを置いてもらう
脅威 【差別化戦略】
・整体ならではの歪み改善に集中したメニュー開発
・顧客の各悩みをデータベース化しその人にあった情報をメルマガ配信
【防御・撤退戦略】
・他の鍼灸院やマッサージ店などと似たメニューで高いものをやめる

マーケティング思考ワーク『1人でSWOT分析をやってみる』

この記事の最後に、ぜひこのSWOT分析を実際にやってみて、この分析ツールの型を自分のものにしてください。この型にそって思考するという作業により、意外な発見をします。
この分析はビジネスだけでなく、自分自身の分析にも役立ちます。
例えば、就職市場や恋愛市場(?)などのマーケットに自分を売り込まねばならない時など、ぜひ利用してみてくださいね。

ー SWOT分析テンプレートの無料ダウンロード

SWOT分析テンプレート(自社と競合も):Excel/PDF

SWOT+クロス分析一枚テンプレート:Excel/PDF

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