このシリーズ記事は、これまで私が学んできたマーケティングについて整理しまとめた記事です。
今回は、利益を上げるために欠かせない考え方LTV(顧客生涯価値)についてまとめます。
LTV(顧客生涯価値)とは
LTVは、Life Time Valueの略語で、日本語では「顧客生涯価値」と訳されます。
顧客一人がある企業の商品・サービスなどを利用し始めて、全く利用しなくなるまでの期間に、その顧客が企業に払う合計金額または企業に与える利益の総計を指します。
LTVは、その企業や企業の商品・サービスに対する愛着(顧客ロイヤリティ)が高いほど高くなる傾向にあります。
LTVは、いまではどの企業でも重きを置く目標指標のひとつ。特に、通販事業や美容院やサロンなど、何度もリピートして購入したり通ったりする商品・サービスを提供する場合、このLTVを理解することは特に重要になります。
LTVを理解が必要な理由
- 競合の多い成熟した市場は新規の顧客獲得が難しいから
- どのくらいで投資したコストを回収できるかを把握するため
- 顧客獲得に必要な費用を設定するため
まだ競合が少なかったり、伸びている市場であれば、新規顧客の獲得に力を入れることが重要ですが、すでに競合が多く成熟しきった市場では、新規顧客を得るにはより多くのリソース(時間やコスト)が必要になります。そのため、LTVを伸ばす施策、つまり顧客に継続購入をしてもらう施策を重視する方が利益が伸びやすくなります。
また、LTVを理解することで、広告費やイベント費用など、顧客獲得に投資したかかった費用が、どのくらいの期間で回収できるか、といった指標をもつことができます。
そうした指標をもつことで、顧客1人にかけられる獲得費用の予算設定をすることもできます。
LTVの計算方法
売上としてのLTVは、以下の計算式で出します。
つまり、特定の単位の期間(年や月)における、顧客1人の支払総額(売上)に対して、継続期間を掛けます。
継続期間の計算方法は、1/解約率という公式で覚えてしまってください。
説明すると長くなるし、そもそも等比数列で導かれた公式なので、数学苦手な私は完全な説明ができないので、省きます(笑)
- NetflixユーザーのLTVは?
動画配信サービスNetflixを例に考えてみます。
- 1回あたりの平均購入額:Netflixのスタンダードプランは月料金1,200円
- 購入回数:年12回
- 平均継続期間:Netflixが現在公表している解約率が11%なので、1/0.11≒9年
⇒1,200円×12回×9年=12万9,600円
NetflixユーザーのLTVは、12万9,600円となります。
- 売上でなく利益でLTVを見る場合
ここまでは売上だけをベースに見ましたが、利益で考える場合には、顧客獲得と維持にかかった費用を引いて考えます。
Netflixの場合、新規加入を増やすための広告にかける費用、「今なら1ヶ月無料」などの新規加入キャンペーン費用は獲得にかかった費用です。
番組コンテンツの制作費用などは、顧客を維持するための費用とみなすこともできますが、これは本体であるサービスにかかるものとして別にします。
コンスタントにNetflixを楽しんでもらうための、SNSやメルマガによる新番組の告知などにかかる費用を、顧客維持にかかる費用とみなします。
LTVを増やすには
上記の計算式から見ると気づくかと思いますが、LTVを増やすには、売上の要因となる項目をあげる事、費用の要因となる項目を下げる事が重要です。
- 1回あたりの平均購入額
- 購入回数
- 継続期間
この3つの項目は、どうやったら伸ばせるかを施策として考えます。
現在、多くの企業が取り入れている「サブスク(サブスクリプション)」という購入方法。これは、顧客の購入回数や継続期間を、自動的に上げるために考えられたシステムです。
上記の2つの中で特に検討する時に注意したいのが、購入額。単純に値段を上げると、回数や期間を伸ばすことができません。
そこで、アップセルやクロスセルなどの方法で、顧客が気持ちよくお金を払える仕組みを作ることが重要になります。
この3つと反対に、下の2つについては、どうやったら減らせるかを考えます。
- 新規の顧客獲得にかかる費用
- 顧客を維持するためにかかる費用
ただし、この2つを下げることによって、全体が下がると意味がないので、まず優先して考えるのは上の3つを伸ばす方法をです。
LTVを見て施策を検討する
多くの場合、新規顧客をどれだけ獲得したか、打った広告でどれだけお客さんが連絡を得たかという短いスパンの指標で、ついつい施策を判断してしまいがちです。
ただ、最初の獲得に多く成功しても、その大多数がすぐに離れていってしまっては、獲得に使ったコストを回収できない場合もでてきます。
LTVの指標を持つことで、顧客獲得に使ったコストをどのくらいで回収できるかを、把握したりコントロールしたりすることができます。
マーケティング思考ワーク『よく使う商品・サービスのLTVを算出してみる』
上記にあげたNetflixや、定期的に通っている美容院、定期購入しているサプリメントなど、もし継続して利用している商品やサービスがあれば、上記の公式を使って、ぜひその企業に対する自分のLTVを算出してみてください。
それをもとに、その企業がLTVを上げるために取り組んでいる施策は何かを項目ごとにぜひ考えてみてくださいね。