私は子どもの頃から、これまでに4頭の犬を飼った経験があります。
最初に犬を飼ったのは30年も前の子どもの頃の事ですが、当時飼った犬には、幸せな生活を与えてあげられませんでした。
幸せにしてあげられなかった子どもの時の犬達は、私の心の中に常に後悔として残っています。
そこでその当時の私が、犬を飼う前にちゃんと知っておけばよかったと思う4つの事をまとめてみました。
今後、犬を飼ってみたいなと思っている方、飼った経験がないけれど犬との生活はどうなんだろう、と考えている方の参考になればと思います。
犬の基本は”群れ”
よく言われることですが、どんなに小さな犬でも基本性質は、狼です。
そのため、1人だけになる事、信頼できるリーダーがいないという事に、一番不安を覚えます。
安心できる群れと、信頼して従えるリーダーがいれば、犬のメンタルは安定します。
- できるだけ孤独を感じさせない
1人でお留守番をするという状況は、犬にとっては不安な事。
分離不安症になり、お留守番の間に粗相をしたり、モノを壊したりするのはそのためだと言われています。
留守番時間は、できる限り短くするように工夫をしましょう。
または、多頭飼いなどで留守番仲間を作ってあげる、仲間と思える人形を置くなども方法です。
また、子犬で家に来たばかりの際は、夜鳴きに悩まされることもあるかと思います。
私も昔もらってきた犬は子犬の頃に1人きりにして、家族が夜鳴きに悩まされたことがあります。
親や兄弟犬などと離れたり、それまでと違った環境にきて、群れの仲間もおらずたった1人になることは、子犬にとってはとても不安なこと。
もし来たばかりの子犬が夜鳴きをするようであれば、ぜひ同じ部屋で寝てるようにしてください。
同じ布団ではなくても、寝息が聞こえる距離であれば、仲間がいることに安心して夜鳴きがなくなります。
- リーダーとして堂々と振る舞う
犬が問題行動を起こさせないようにするには、リーダーである飼い主が犬に対して、分かりやすく毅然とした態度をとることが重要。
これもよく言われることですが、これがなかなか難しい。
犬をトレーニングするというより、自分自身をトレーニングするつもりの心構えが必要です。
犬にとってわかりやすい行動や叱り方など、犬に対してどういった態度をとるべきか、飼い始める前にぜひ学んでおくとよいです。
以下の本は、犬の行動や心理を理解して、犬との関係づくりをする上で役立った本です。ぜひ参考に。
散歩でマスターする犬のしつけ術: 愛犬とより強い絆を築くために (DOGGY STATION出版部)
犬の訓練士・心理カウンセラーで、動物行動学の研究者でもある著者が、犬との信頼関係作りを分かりやすく書いたもの。犬の行動心理学の面から、散歩を通して実践的に犬との絆づくりについて解説しています。
ザ・カリスマ ドッグトレーナー シーザー・ミランの 犬と幸せに暮らす方法55
海外で人気のカリスマドッグトレーナーによる犬との関係づくりの本。人間が犬との関係をどう作っていけばお互いが幸せになれるのかを説いた名著です。犬だけでなく、人間関係作り、子育てにも通じる内容。
犬種や個体ごとに大きな違いがある
過去に私が犬を飼う前にちゃんと勉強すればよかったなと思ったのが、犬種についての理解と、その犬の性格の理解。
その子の性質や犬種にあった生活をさせてあげられなくて、あまり幸せな犬生ではなかっただろうと、ずっと後悔しています。
犬は犬種によって、性格やしつけやすさ、エネルギー量の多さ(必要な運動量)に違いがあります。
また、個体によっても違います。
たとえば、テリア系は小さい体でも、エネルギー量が多い犬種です。いつも飛び跳ねて活発な犬種です。
それでも、個体によっては落ち着いた気質の子もいたりします。
犬種だけでなく、こうした個体による性格の違いもあります。
せっかく家族にした犬を不幸にしないために、飼う前には、こうした犬種の性格や気質を知っておくことは本当に重要です。
犬種や個体による性格の違い知って犬を飼うために、おすすめな方法が以下2つあります。
- 質のよいブリーダーさんから子犬を買う
特定の犬種で、血統証明書付きの子犬が欲しい場合は、その犬種を専門にブリーディングしている質のよいブリーダーさんから買うようにしてください。
質のよいブリーダーさんは、その犬種についての知識や経験もあるのでアドバイスもくれます。
また、母犬や子犬の健康に気を使っており、生まれた子犬も1匹1匹を注意深くみているので、個体による性格の違いなども知っています。
けして、犬に無理やり子どもを産ませて利益を優先するパピーミル業者、母親や兄弟犬と離されて1匹だけにして生体展示しているペットショップからは飼わないように。
あとで健康疾患が見つかったり、早くから親兄弟から離されていて、しつけをしにくかったりする場合があります。
- 動物保護NPO団体から保護犬を引き受ける
血統証明書などにこだわらなければ、まずは保護犬から探してみてください。
求めている犬種の子が見つかる場合もありますし、子犬もいます。
保護施設で保護されている犬たちの中には、しっかりしたしつけがすでにされている子などもいます。
また、保護施設のスタッフの方が保護犬たちの性格を把握しているので、それぞれの犬の個性や性格を知っているので、どんな子かを知ることができます。
また成犬は、子犬に比べると落ち着いています。そのため、北米ではあえて成犬を引き取る人も多いです。
日本には、里親を探している犬を探せるWebサイトがあります。
動物保護NPO団体さん、事情があって飼えなくなった現在の飼い主さんなどが里親を探しています。 ぜひ自分に合う子を見つけてください。
犬の生涯には費用がかかる
もちろんですが犬を飼うにはお金がかかります。
犬の健康を考えると、質の良いドックフードが必要ですし、病気や怪我をしたら病院につれていかねばなりません。
一般社団法人ペットフード協会2019年の調査では、日本で飼育されている犬の平均寿命は現在14.44歳。昔に比べて犬も長寿傾向にあります。
その生きている間に必要になる費用は約2百万ほどです。
犬のサイズ | 平均寿命 | 生涯必要経費 | 1ヶ月の支出総額 |
---|---|---|---|
犬全体 | 14.44歳 | ¥2,004,139 | ¥11,562 |
超小型犬 | 15.20歳 | ¥2,201,448 | ¥12,297 |
小型犬 | 13.99歳 | ¥1,864,155 | ¥11,236 |
中型・大型犬 | 13.69歳 | ¥1,903,980 | ¥10,215 |
- 食費や雑費
食費はもちろん、首輪やリード、クレートなど、ちょこまかと必要になる犬に必要な費用。
上記のペットフード協会の同じ調査では、1ヶ月のペットフード代は平均¥3,445、おやつ代は平均¥1,385
大型犬であれば毎月の食費が、小型犬でも長毛であればトリミングなどの費用が意外と大きく占めます。
※参照:一般社団法人ペットフード協会/2019年全国犬猫飼育実態調査
- 医療費
中でも特に負担になるのが医療費。
人間のように保険がない分、病気や怪我などの万が一には、大きな負担になります。
- 混合ワクチン注射費:1回6〜8千円(子犬の間に2~3回接種)
- 狂犬病注射費:1回2〜3千円(日本では毎年接種が義務)
- 避妊手術費:2〜3万円
- 最も支払った治療費平均額:2〜3万円
- 医療費の最高額:30〜40万(全体の4.3%)
犬種によっても病気になりやすいものがあるので、飼いたい犬種があれば、どんな病気にかかりやすいか知っておくとよいです。
ちなみに、ペット保険などのサービスがありますが、個人的には必要ないと思っています。
払いきれないほど高額になる可能性が低いのと、毎月払う保険料の方が高くなる事があるからです。
それよりも、もし高額治療が必要になった時のために、保険料分を毎月犬用に貯金をしておくのがいいと思っています。
とはいえ、病気がちの犬であれば、保険に入っておいた方が負担が減る場合もあります。
犬にはあなたしかいない
最初に書いたように、犬は群れの動物。
常に一緒にいられる家族や仲間が必要です。
「犬の十戒」として有名な、あるアメリカのブリーダーが犬を渡す時に一緒に伝えた犬からのメッセージがあります。
第一戒:私の生涯はだいたい10 年から15 年です。あなたと別れるのは何よりもつらいのです。私と暮らし始める前に、どうか別れのことを考えておいてください。第二戒:あなたが私に望むことを理解するまでには、少し時間がかかります。
第三戒:私にとって一番大事なことは、あなたから信頼してもらえることです。
第四戒:私のことを長い時間叱ったり、罰として閉じ込めたりしないでください。あなたにはあなたの仕事や楽しみもあり、友達だっているでしょう。でも、私にとってはあなたがすべてなのです。
第五戒:私にちゃんと話しかけてください。あなたの話している言葉の意味はわからなくても、話しかけてくれるあなたの声はよくわかるのです。
第六戒:あなたが私にどんなふうにしてくれたか、それを私は絶対に忘れません。
第七戒:私をたたいたりする前に、私はあなたを噛んだりしていないことを思い出してください—私の歯はあなたの手の骨をかみ砕くことぐらい簡単にできるのに。
第八戒:私が言うことを聞かないと怒る前に、なにか原因があるのではないかと考えてみてください。食事はちゃんとしているか、かんかん照りの日なたに置き去りにしてないか、年を取って体が弱ってきていないか、と。
第九戒:私が年を取ったら、どうか優しく世話をしてください。あなただって、年老いたら同じようにそうなるのですから。
第十戒:私が旅立つその時を安らかに迎えられるように、どうか最期まで一緒にいてください。「かわいそうで見ていられない」なんて言わないで、私を独りぼっちで逝かせたりしないでほしいのです—だって、私はあなたが大好きなんですから。
犬を飼うというのは、子育てに似ていると言われます。
社会のルールを教え、じっくり時間をかけて向き合ってあげねばなりません。
放ったらかしにしていると、問題児になります。
仕事や遊びが忙しかったり、自分の生活に余裕がない場合は、飼うべきではありません。
また、あなたが死んでしまったら、犬は生きていきようがありません。
自分に何かあった時に世話をしてくれる人を、必ず見つけておくようにしてください。
犬との暮らしは、今まで思っても見なかった優しい感情や、際限ない癒やしをくれます。
それは上に挙げたように、費用や時間をかけた以上、とても大きなものになることは間違いありません。
1匹でも幸せな犬、1人でも幸せな飼い主さんが増えたらいいなと思っています。